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empfangen candle

わたしの手を離れた蝋燭たち

11 分前
読了時間: 5分

― 届けた先で生まれる、まだ知らない物語 ―



蝋燭は誰かのもとへ


わたしの手から離れた蝋燭が その後どんな時間を過ごしているのか。

それを知ることができるのは お客さまから写真や言葉が届いたとき。

いつもわたしの知らない蝋燭の姿があります。




思い通りにならない蝋燭たち


蝋燭をつくるときには 何度もテスト燃焼を重ねています。


けれども 誰かのもとへ渡ると 驚くほど違う姿になることが多い。

「どうしてそんなことになったの?!」

いつも驚きと感動です。


テスト燃焼が テストになっていないんじゃないかと 笑ってしまうくらい わたしの予想を軽々と越えていく。


球体の蝋燭が 縦に割れてふたつに開いたこと。

二本並べて灯した蝋燭が まるで呼吸を合わせるように 溶けていきほとんど同時に火が終わる。

イベントで灯した蝋燭に 何気なく「見守り」と呼んだ蝋燭が お開きとなり 訪れた人たちが帰ったあとに 静かに火を終えたこと。


もちろん、 蝋燭の燃え方には環境や さまざまな条件が関わっています。

届いた写真や話を聞くたびに わたし自身が知らなかった姿と出会います。


そして 何より面白いのは 手にしてくださった方たちが その変化をわたし以上に楽しんでくださっていること。





展示会で灯された一本


以前、友人が初めて自身の作品を展示するとき ich pillarを灯してくれたことがありました。

展示会の期間中炎は いつもより小さめで 蝋は外側へほとんど流れず 筒状の壁を保ったまま 底の方まで灯り続けたそうです。



そんな灯り方は、わたしにとっても初めてでした。

話を聞きながらなんだか、 友人らしいなと思いました。

人との距離を大切にする彼女にとって 初めて作品を披露し たくさんの人と出会う展示会は いつもとは違う時間だったと思う。

展示会が終わり 自分だけの空間に戻ったら 蝋燭もまた違う姿になるのかもしれない。


そんなことを感じていました。



でも、そのときは伝えませんでした。

後日友人から連絡があり

展示会が終わったあと 蝋燭が変化し始めたのだそうです。

友人自身も薄々感じていたようで

その姿を見たとき思わず笑ったと。



話を聞いたわたしも


「だよねーーーー!」


二人で大笑い。


どちらかが先に感じていたことを伝えたわけではない。


それぞれに感じていたことが

後から重なった。


そんな出来事でした。




意味を決めない


お客さまから 変化した蝋燭の写真とともに

「これって、どういう意味だと思う?」

と尋ねられることがある。




写真を見て わたしなりに何かを感じることもあります。

けど、基本的にはその意味を答えないことにしています。

どんな気持ちで手にしたのか。

どんな場所で、どんな時間に灯したのか。

火を灯していない時間には どんなことがあったのか。

その方のことを知らなければ 写真だけではわからないことがたくさんあります。

たとえよく知っている相手でも わたしが感じたことがその人にとっての答えとは限らない。


本当は違うかもしれない。


だから、 意味を伝えるよりも その人が何を感じたのかを聞いてみたい。

一緒に話しているうちに それまで気づかなかったことが見えてきたり 思い込んでいたことに気づいたりすることがあります。

そして、また火を灯したとき 以前とは違うものを受け取ることもある。

そうした対話を もっとゆっくり重ねてみたい。

その思いが時を重ねて Fire Reflection Sessionへとつながっていきました。






まだ見ぬ誰かのために


以前は蝋燭をつくりながら

これをつくってもいつ、 どこで、 誰のもとへ渡るのだろう。

そんな不安を感じることもあった。




けれど思いがけない方から注文をいただいたり ずっと前につくった蝋燭がある日、 誰かのもとへ渡ったり。


そんな出来事を何度も経験してきました。




つくっているときには なぜ今これをつくるのか 自分でもわからないことがあります。



でも後になって

「あぁ、あれはここにつながっていたんだ」

「このためだったのか」

と思うことがある。


そのときには 見えなかった点が振り返ると、ひとつの線になっている。

そんな体験を重ねるうちに まだ届け先がわからなくても 世界のどこかにいる誰かにきっと届くと 感じながらつくれるようになりました。




今では、 つくりたいという気持ちが湧いてくることも どこかにいる誰かからの小さな呼びかけを 受け取ったように感じています。

それは、わたしにとって悦びとなっている。




届けた先で、また出会う


長いあいだ 蝋燭をつくり続け

自分が作品を生み出しているというより 手にしてくださる人の蝋燭をつくらせてもらっている。



そんな感覚があります。

誰のもとへ渡るのか。

どんな姿になっていくのか。

そこからどんな言葉や時間が生まれるのか。

わたしには、わからない。


わからないまま、つくる。


わからないまま、届ける。



そして、誰かのもとで生まれた出来事を 今度はわたしが受け取る。

わたしの手を離れた蝋燭たちは そこで終わるのではなく

わたしの知らない時間を生き また新しい出会いを運んできてくれる。

 
 
 

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